キャタピラーの最新ソリューションの1つであるVisionLink®はさまざまなデータに基づく効率的な車両管理を可能にした。
しかし、その恩恵は思わぬところにも及んでいる。
南アフリカで深刻化している、ある問題への対処に際してVisionLinkが大いに活躍した。
新型コロナウイルスによるパンデミック以降、南アフリカでは建設機械の盗難が激増している。その状況に、素早く毅然と向き合ったのがPentacon Plant社である。同社は捜査当局と連携し、さらに最新技術を活用することで、盗難車両をわずか数日で取り戻すことに成功した。
2023年4月、南アフリカのリンポポ州ターフェルコップにある建設現場に車両窃盗グループが侵入した。彼らはバックホーローダCat® 426F の追跡装置を解除し、レッカー車に積み込んだ。これで逃走の準備は万端だと思ったに違いない。しかし、窃盗犯にとって不運だったのは、その機械が地元のCatディーラBarloworld Equipment社のサポートを受けており、最新版のVisionLink に接続されていたことだ。
Cat 426Fの盗難が確認されるやいなや、Barloworld Equipment社のプロダクトマネージャー、Jaco du Plessisのもとに連絡が入った。知らせてきたのは、Tradelog Investigation Services社の保険調査員、Tyron Gardinerである。プラントや機械の追跡調査を専門とするTyronは、ディーラにある機械からより多くのデータを取得できる可能性があることを知っていた。うまくいけば、保険会社は8万ドルの保険金支払いを回避できるかもしれない。Tyronは言う。「本来、VisionLinkは盗難を防ぐ目的で開発されたものではありません。しかし過去の実績から、盗難対策としても非常に役立つことがわかっていたのです」
Jacoに確認すると、盗難車両には確かにVisionLinkが搭載されていた。「そこで、私はディーラのサービスポータルにアクセスして該当機の利用サービスを変更し、お客様が設定した1日1回ではなく10分ごとに更新するようにしました」
これで盗まれたCat 426Fの追跡が可能になった。盗難車両は日が暮れると停止し、午前2時頃に再び動き出していた。それから3日間、この車両は500km以上走行した後、ニューカッスルで動きが止まった。VisionLinkによってその場所の正確な座標が特定されると、そこは倉庫だった。そして南アフリカ緊急警察隊が現場に向かい、倉庫を開け、無事にCat 426F を発見することができたのである。
Jacoは喜びを隠せない様子でこう話す。
「機械の盗難が横行している中、窃盗犯を打ち負かす秘密兵器があるというのは本当に心強いです」
盗まれたマシンは「冒険」を終え、元通りの姿で本来の所有者のところへ無事に戻ってきた。この記事が掲載された後も、JacoとTyronは手を組んで2台の盗難車両(Catバックホーローダ) を奪還したということだ。