極めて急な勾配が続く山脈、岩だらけの地盤、そして厳しい冬の寒さ。
キャタピラーは、そのような環境下でも休むことなく稼働できるマシンを世界中に提供している。
ノルウェーの地形や環境は、あまりにも過酷である。凍てつくほどの寒さの中、複雑な形の険しい山々が多く連なり、油圧ショベルのアンダーキャリッジ※は非常に深刻なダメージを受ける。
「ここしばらくの間、油圧ショベルのアンダーキャリッジの修理がとても増えてきています」そう語るのは、ノルウェーのCat ディーラPon Equipment Norway社でグランドエンゲージメントツール(爪・ツース)/アンダーキャリッジのプロダクトマネージャーを務めるSondre Karlsen。「多くのユーザーが、度重なる修理のための休車に悩まされています。そんな状況に対して何かできることはないだろうかと、我々は知恵を絞りました」
そこでPon社が開発したのが、ハイブリッドアンダーキャリッジである。標準デューティのリンクを使用しながら、つねに最も高い負荷がかかるシューをヘビーデューティ仕様に変更。この強靭なシューが功を奏して、ノルウェーの過酷な気候と風土に耐えられるアンダーキャリッジが完成したのだ。Pon社のユーザーは、耐久性が高いこの仕様に替えてマシンの稼働時間を増やすことができ、生産性が向上したことで業績も上向きに転換した。
ユーザーに合わせた用途・要件のコンポーネントや部品番号を、いかに効率良く整理するかということが一つの課題となったが、ノルウェーではメーカー側のキャタピラーが製造し組み立てた状態で輸送することによって解決した。
この革新的なハイブリッドアンダーキャリッジはユーザーに高評価を受けると予想していたPon社だったが、ある新規ユーザーには意外な別の効果が出ていた。
「新規ユーザーは、キャタピラーの機械が高品質であることに加え、アフターマーケットの部品とサービスもカバーしていることにより、彼らの機械のライフサイクル全体における所有コストと運用コストが削減できていることを実感しました」と、キャタピラーのアンダーキャリッジアフターマーケットサービスコンサルタントであるMatthew Briggsは言う。
「彼らは、作業時間・移動距離・信頼性に対するコストをこれまでの他社製機械と比較し、キャタピラーは一線を画していると知ったのです。ハイブリッドアンダーキャリッジによって、特に険しい岩場で作業する際の足回りの寿命は明らかに延びました。ノルウェー向けに開発されたこのソリューションは、同様の環境下にある世界中のあらゆる場所で活躍します」
Catマシンが高品質であることが広まり、多くのユーザーがこのハイブリッドソリューションを購入、車両への装備が進んだ。現在では、ノルウェーだけでなく、さまざまな国のユーザーにハイブリッドアンダーキャリッジを販売展開している。キャタピラーでは10〜90tの油圧ショベル向けソリューションを提供しており、ハイブリッドアンダーキャリッジはその内の20〜50tの油圧ショベルに装着可能である。