NEOMは、単なる建設現場ではない。それはまさに「真の」建設現場と呼ぶべきものである。
5,000億ドルをかけた大胆かつ革新的なこのプロジェクトは未来における都市の在り方を世界に向けて提案する未曾有の大事業である。
そこでは、現地で厚い信頼を集める老舗Catディーラが重要な役割を担っている。
サウジアラビア北西部で建設が進む未来型の巨大な経済特区、NEOM。最初の3文字は古代ギリシャ語で「新しい」を意味するneoに、Mはアラビア語で「未来」を意味するmostaqbalに由来する。
NEOMは、3つのコアプロジェクトで構成される。サウジアラビアの雪山にある湖を中心とするデスティネーションリゾート=Trojena。世界最大の浮体式構造物で、世界貿易の13%を担う産業ハブ=Oxagon。そして最もユニークなものがThe Lineだろう。これは高さ500m、幅200m、全長170km以上に及ぶ一本の線のような街である。
The Lineが完成すれば、ここで900万人が暮らすことになる。二酸化炭素排出量0%を目指すこの街は、自動車も道路も存在せず、日常生活に必要なあらゆる施設に徒歩5分以内でアクセスできる。遠くへ行く際は、全長を最短20分で走る高速鉄道を利用する。電力は風力発電とソーラーパネルで賄われるほか、再生可能エネルギー、水の保全と再利用、埋め立てゼロを約束する循環型廃棄物管理システムなど、さまざまな面でサスティナビリティが重視される。これは、NEOM全体を貫くコンセプトでもある。
この地域のCatディーラであるZahid Tractor 社は、100年以上にわたりサウジアラビアの商業に関わってきたZahid家によって1967年に設立された。Zahid家とキャタピラーの関係は1950年に始まり、前身となる会社がキャタピラーのパートナーに任命されたことがZahid Tractor社の設立に繋がった。
同社は、建設機械、商用車、レンタルの3つを中核事業とし、建設、インフラ、工業、物流、農業、石油など多くの業界にサービスを提供している。広大なネットワーク、地元の知識、遠隔地での作業に関する専門知識を活かし、このプロジェクトのパートナーとして同社が即決されたのは自然な流れであった。この契約には、技術者向けのトレーニング、定期的なメンテナンス、要望に応じた24時間体制の現場・技術サポートなどが含まれる。
現在現場で稼働している5,000台という非常に多くのブルドーザ、油圧ショベル、ホイールローダ、モーターグレーダ、ダンプトラックを同社が供給している。その数は今後1年間で倍増する見込みだ。基礎工事の準備だけでも約5億m3の土壌を移動させる必要があり、これらの現場のマシンはフル稼働となる。
このような大量の機械を扱うことには、常に困難がつきまとう。加えて、広漠とした現場に散在する複雑な問題を考慮に入れると、ロジスティクスの課題はさらに並大抵ではなくなる。
Zahid Tractor社戦略部門責任者であるOmar Sherifは、彼らがこの仕事に取り組んだことを誇りに思っている。
「サプライチェーンの先を見通すのが困難な時代に、我々はキャタピラーとともに、この巨大なプロジェクトに関わることができました。これは大変な偉業です」